どうも。馬頭です。
昨日、むちゃくちゃ猛暑だったにもかかわらずロードバイク乗ったんですが、目的地までの行程を半分も行かずに断念する羽目になりました。この暑さヤバイですね!
それはともかく。

『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第10巻(大西巷一。双葉社。アクションコミックス。2018年。620円。187ページ)
「激流に流されて行方不明となってしまったシャールカ。それから五年後。彼女は記憶を失い、旅芸人の一座の踊り子マリーとして暮らしていた。フス戦争の余波はそんな一座をフランスへと導くことになるのだが、そこでシャールカは戦場に立つ少女ジャンヌ・ダルクと出会い・・・」
15世紀のチェコ(ボヘミア)で起きた宗教戦争「フス戦争」を題材とした漫画「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」の第10巻です。とうとう10巻の大台に突入です! 作者は「女媧 JOKER」「曹操孟徳正伝」「ダンス・マカブル」「おてんば珠姫さま!」の大西巷一(おおにしこういち)氏。
さて、前巻でヤン・ジシュカが死に、混戦の中でシャールカは激流に飲まれて行方知れずとなってしまったわけですが、この巻ではそれから五年後に物語が始まります。
フス派の仲間たちからはすでに死んだと思われているシャールカでしたが、実は記憶喪失になってドイツの旅芸人の一座に拾われていました。彼女は名前も失い、マリーという名前で踊り子としてずっと過ごして来ていたのです。
そしてこの五年の間にフス派は勢いを増し、ドイツを中心に各地を席巻していましたが、その影響で旅芸人の仕事がしづらくなってしまった一座はフランスのパリへと向かいます。
そこでシャールカ(=マリー)は、百年戦争でフランスを勝利へと導いた「乙女」ジャンヌ・ダルクと出会うことになるのでした。
百年戦争とフス戦争。2つの戦場で戦ってきた何か似通った部分のある二人の少女。ともに過酷な運命に翻弄された悲劇のヒロインたちの邂逅は、まさに起こるべくして起こったと言えるでしょう。・・・作家さんの趣味という部分を差し引いたとしても!
この巻はジャンヌ・ダルクの話をメインにしてて、記憶喪失となったシャールカが、フス派を敵視するジャンヌを守り助けようとすることになる皮肉な展開に。そしてそれはシャールカを再びボヘミアへと導くことになります。
正直、途中まではジャンヌはこの物語中では助かるのかも、と思ったりもしましたが、周りの人間の腹黒さの方が一枚上手でした。でも、悲惨なだけの終わりではなく、深い絶望の後に少しだけ救いがあったのはよかった。
シャールカも今回、長くフス派を離れたことで、新たな出会いと別れを経ることになりましたが、中でもジャンヌからの影響は大きいでしょうね。でも、結果的にはジャンヌの願いとは真逆のようなことになりそうな気もしますが、そこらへんどうなっていくのでしょうか。フス派はこれから下り坂のつらい時期になっていくでしょうから、今後の物語の進展が気になります。
あ、あと、拙者「記憶を失った戦士が戦い方を体が覚えてて、ふとしたことで反応する展開」大好き侍なので、シャールカが襲いかかる男を箒で撃退するシーンは燃えましたでござる。
参照サイト
LA GROTTA (ラ・グロッタ)(大西巷一)
http://ohnishikoichi.jimdo.com
大西 巷一 (kouichi_ohnishi) on Twitterhttps://twitter.com/kouichi_ohnishi
月刊アクション | WEBコミックアクションhttp://webaction.jp/monthly_action/
ちなみに双葉社のサイトで冒頭11ページを試し読み可。→
「乙女戦争」試し読みhttp://webaction.jp/monthly_action/sample/ma7_04.html
ターボル戦記 ~フス戦争の記録~http://www002.upp.so-net.ne.jp/kolvinus/tabol/top.htm
フス戦争(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B9%E6%88%A6%E4%BA%89
フス派(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B9%E6%B4%BE
ヤン・ジシュカ(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%AB
ターボル (チェコ)(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%AB_(%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B3)
The Hussites of Bohemia(英語)
http://myweb.tiscali.co.uk/matthaywood/main/Hussites.htm
ヤン・フス(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%B9
ジャンヌ・ダルク(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AF
ピエール・コーション(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
ヘンリー・ボーフォート (枢機卿)(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%88_(%E6%9E%A2%E6%A9%9F%E5%8D%BF)
ジャンヌ・ダルク処刑裁判(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AF%E5%87%A6%E5%88%91%E8%A3%81%E5%88%A4
ジョングルール(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB
関連記事
ヤン・ジシュカに教皇庁の魔手がのびる! 大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第9巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-2096.html
ヴィルヘルムに囚われたシャールカは処刑を免れるために・・・。大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第8巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-2071.html
裏切りと反撃。暴虐の限りを尽くしたクマン兵にキッチリお返し! 大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第7巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-2041.html
智将スコラーリと精強なクマン騎兵によってフス派は窮地に立たされ・・・。大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第6巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-2012.html
フス派内部の急進派が暴走の果てに・・・。大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第5巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1984.html
身も心も憔悴する過酷な籠城戦をシャールカたちは戦い抜く! 大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第4巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1941.html
勢いに乗るフス派。だが、ヤン・ジシュカに暗殺者の魔の手が伸びる! 大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第3巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1871.html
シャールカたちは新しい戦い方で10万の大軍に立ち向かう! 大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第2巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1767.html
フス戦争が舞台の「銃×少女」の物語。大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』第1巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1713.html
フス戦争が舞台の「乙女戦争」も連載開始! 『月刊アクション』2013年7月号(創刊号)http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1550.html
波瀾万丈の人生を送った歴史上の女たち。デビュー作の「豚王」も収録。大西巷一『涙の乙女(アクリャ) 大西巷一短編集』http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1942.html
ヨーロッパのど真ん中で個性的な輝きを放つ国の物語。薩摩秀登『物語 チェコの歴史 森と高原と古城の国』http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-120.html
マラーを暗殺したコルデーと彼女を処刑したサンソンの交流を描く話が凄く良かった。大西巷一『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』第2巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-970.html
加賀藩にやってきた徳川の姫様が金沢の街で大暴れ! 大西巷一『おてんば珠姫さま!』第1巻と第2巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-648.html
残虐な拷問と処刑が溢れかえる歴史の闇の中で・・・。大西巷一『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』第1巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-647.html
ぐいぐい引き込む漫画力。呪術的観点からの『三国志』という驚異。大西巷一『女媧(じょか)JOKER』http://xwablog.exblog.jp/7720530
いつも劉備の敵役にされていた曹操を主人公にした漫画。大西巷一『曹操孟徳正伝』第1巻http://xwablog.exblog.jp/10006115
捕われのジャンヌを救うため、単身ルーアンへと向かうピエールだが・・・。佐藤賢一/原作・野口賢/作画『傭兵ピエール』第4巻http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-491.html
「ダンス・マカブル 1‐西洋暗黒小史‐ (MFコミックス フラッパーシリーズ)」
「タケヤ式自在置物 15世紀ゴチック式フィールドアーマー シルバー 全高約147mm PVC&ABS製 塗装済み 可動フィギュア」
「フランスの中世社会―王と貴族たちの軌跡 (歴史文化ライブラリー)」
▶
このブログのトップページへ ▶
デジタル・クワルナフ HPのトップへ ▶
Twitter(matou_twi)はこちらへ