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幕末の日本にやってきたイギリスの園芸家の手記。ロバート・フォーチュン『幕末日本探訪記 江戸と北京』

どうも。いつも会社のトイレの便器に、やけにたくさんの陰毛が落ちているのは、誰かがわざと抜いてばら撒いてるからだと疑っている馬頭です。
いや、ほんと凄い数落ちてるんですってば! マジでマジで。

それはともかく。

ロバート・フォーチュン『幕末日本探訪記 江戸と北京』

『幕末日本探訪記 江戸と北京』

(ロバート・フォーチュン。訳/三宅馨。講談社。講談社学術文庫。1997年。1150円。363ページ)
著者序文
訳者はしがき

第一章 日本上陸 長崎遊覧
第二章 貿易港としての評価 横浜見物
第三章 江戸から二四マイル 神奈川の宿場風景
第四章 オールコック公使の招き 神奈川から江戸へ
第五章 大老の暗殺 大君の都
第六章 英国公使館の火事 江戸の近郊
第七章 染井村の壮観 植物さがし
第八章 隅田川界隈 浅草寺参詣
第九章 ワード氏の保護箱 江戸から神奈川へ
第十章 天然の美 瀬戸内海の風光
第十一章 湘南の春 上海から帰って
第十二章 不愉快な通信 アメリカ公使の江戸招待
第十三章 初夏の風物詩 楽しい日々
第十四章 日本歴史の一頁 古都鎌倉の旅
第十五章 英国公使館襲撃と生麦事件 事件の波紋
第十六章 田植えの季節 風土に適した農業
第十七章 絹と茶の価値 貿易の見通し
第十八章 日本の調査を終えて おびただしいコレクション
第十九章 北緯の植物に期待 天津の横顔
第二十章 天津の気候 重要市場の可能性
第二十一章 北京への旅 首都の印象
第二十二章 城壁の町 北京観光
第二十三章 旅のおわりに 西山めぐり
解説--------白幡洋三郎


この本は、幕末の日本にやってきた英国の園芸家・プラントハンターの旅の記録の翻訳です。大半が日本のことですが、最後に中国にも立ち寄ったので、そのことも収録されています。

1860年の夏に日本にやってきたこのロバート・フォーチュンという人は、1812年にスコットランドに生まれ、庭仕事やら植物園での仕事をやって暮らしていたそうですが、1842年のアヘン戦争のあとの南京条約で五港開港となったことで、中国行きを熱望するようになり、1843年にロンドン園芸協会の支援で中国へと派遣されました。こうして彼のプラントハンターとしての仕事がはじまったのですが、彼が有名になったのは、中国の茶をインドで大々的に栽培することに成功させたためでした。これによってイギリスでは大紅茶ブームが到来するわけです。「イギリス人=紅茶」のイメージを創り上げた人ともいえるでしょう。
そんな彼が1859年にアメリカ政府からの仕事で茶の調査を中国でしていた時に、日本の三港開港の情報が入ってきます。こうしてフォーチュンは、園芸業界にとって、未知の植物があるであろうフロンティア、日本への探訪を望むようになります。
そして、1860年の10月に、とうとう日本へとやってきます。
彼は事前に日本の情報を、「東方見聞録」、シーボルト、ケンペル、ツンベルク、らの本を熟読して得ていたようです。
フォーチュンの日本滞在は、長崎に立ち寄ったあと、横浜に行き、そこで、江戸近郊の各所に出かけて珍しい植物を集めることに熱中します。しかも、外国人居留地に引っ込んで生活するようなこともせず、近くのお寺に部屋を借りて住み、日本人を雇って人々と交流をはかっていきます。
彼にとって、日本の植物というか生物はそうとうに興味深かったみたいで、どこに行っても大発見の連続だったようです。そして、日本人が園芸に非常に巧みだということも感心しています。あと、当時の染井村のような植木屋の類が集まった集落というものは外国には無く、世界最大の苗木園を壮観だと言っています。
この本が面白いのは植物のことだけじゃなく、当時の日本の様子を活写していることや、日本の政治情勢などを考察しつつ、フォーチュン自身の考えが書いてあったりするところです。それがまた凄く頭いい人っぽい感じ(?)で書かれてるんですよね。なんというか、スエンソンの時も思いましたが、当時のヨーロッパ人の知識人の教養の高さや思考法について考えさせられました。

フォーチュンの感想の中で興味深かった箇所はいくつもあります。日本の茅葺屋根がいままで見た中でももっとも素晴らしいとか、日本は農地が多いとか、そのわりには有用に活用されてない雑木林が多いとか、盆栽の技術が凄いとか。その他にも、日本の消防隊(火消し)が凄いとも書いてます。それに火事の現場で母国みたいに火事場泥棒がいないのも凄いとも。
あと、ちょっと気になったんですが、猿の食用肉を売ってる店があった、って書いてあるんですが、当時そんなに猿とか食べてたんでしょうかね?

彼は日本に来たあと、一旦中国に戻り、またやってきて、だいたい一年くらいいたようです。
その後、天津から北京へと行くのですが、そちらでの収穫はあまりなかったようです。当時の中国の様子を描く後半も面白いですよ。

参照サイト
講談社 学術文庫
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/metier/learned/
ロバート・フォーチュン(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%B3

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