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明治時代にやってきたロシア人が古き日本を活写する。レフ・イリイッチ・メーチニコフ『回想の明治維新 一ロシア人革命家の手記』

どうも。馬頭です。
先日の雪の日には記事に、「また寒くなりましたねー」と書こうとしてたんですが、数日投稿が停滞してる内に、逆に「急に暖かくなりましたねー」と書くハメに。

それはともかく。

レフ・イリイッチ・メーチニコフ『回想の明治維新 一ロシア人革命家の手記』

『回想の明治維新 一ロシア人革命家の手記』

(レフ・イリイッチ・メーチニコフ。訳/渡辺雅司。岩波書店。岩波文庫。青441-1。1987年。520円。350ページ)
訳者まえがき
1 明治維新の日本へ
2 日本近海にて
3 日本到着
4 明治維新の渦中へ
5 日本人とは?
6 横浜から品川へ
7 日本の芝居
8 文部省の役人になる
9 東京探訪
10 日本史の発見
11 明治維新の源流
12 日本文化の特質(1)
13 日本文化の特質(2)
14 日本 --教養を尊敬する風土--
付録 東京外国語学校の思い出
訳注
解説


この前読んだ「亡命ロシア人の見た明治維新」と同じメーチニコフ(レフ・イリイチ・メチニコフ)の本です。メーチニコフは、明治7年から一年ちょい日本に滞在して、教師として働いたロシア人。彼は本国ロシアから指名手配されてる革命家であり、地理学者・民俗学者・アジア研究家で、何カ国もの国の言葉を喋れる天才でした。そんな彼が、鋭い観察眼で日本を分析しながら、日本での生活のことと日本そのもののことを書き綴った内容です。

もともとは、ロシアで出されていた日刊紙「ロシア報知(ルースキエ・ヴェードモスチ)」に1883年から1884年に不定期連載されたもので、日本に居たのが1874年から1875年なので、日本を去ってから数年後に書いたものですね。
原題は、「ВОСПОМИНАНИЯ О ДВУХЛЕТНЕЙ СЛУЖБЕ В ЯПНИИ(日本における二年間の勤務の思い出)」。
これの巻末に付いてる付録「東京外国語学校の思い出」は、一緒にされていますが、もともとは別のもので、1885年に書かれた「日本におけるヨーロッパ式教育」という記事だそうです。

本の内容は、「亡命ロシア人の見た明治維新」と似てますが、こっちの方がより細かいような気がします。メーチニコフが日本に行くことになった経緯から書き始め、日本に到着してからのあれこれや、日本について歴史・風俗・文化をかなり的確に解説しています。明治初期の当時の日本の様子がありありと浮かぶような表現力も魅力。そして、そこに登場する人々がまた面白いです。
なんか、歴史の解説なんかも私なんかより詳しいんじゃないかと思うくらい細かいことまでよく分かってて(一部変な間違いなどもありますが)、その知識には驚かされます。
ホント、前の「亡命ロシア人の見た明治維新」も面白かったですが、こちらもムチャクチャ面白いです。

この本にも面白いことたくさん書かれてますが、いくつかピックアップすると、人力車は日本にしかない独特なものだけど、日本人たちは人力車が外国からもたらされた最も便利なもののひとつだと思っている、とか、他の国とかだと色とりどりの衣服を着てるけど、日本だとねずみ色とかくすんだ色が良いものであり、ほとんどの人が紺色の服を着ている(藍染めのこと?)、とか、人前で裸になることを気にしてない(お風呂・裸ネタはこの頃の来日外国人の話に必ず出てきますね)、とか。日本語の難解さを何度も解説してたりもしますが、漢字の習得に時間がかかりすぎるから、ヨーロッパのアルファベットを導入したら一番じゃないか、みたいなことも言っています。
岩倉具視がピョートル大帝の崇拝者だとも書いています(岩倉がロシア、大久保がフランス、木戸がスイス、をそれぞれ見本にすべきと考えていると)。
やはり教師やってただけあって、日本の教育のことにも結構ページを割いていますが、日本人の識字率の高さが異常に高いとも書いています。あと大衆は芝居好きで、小説本好きとも。
そして、なんといっても、日本にやってきた欧米人の山師たちの話が凄い笑えます。ほんと、絵に書いたような一攫千金狙いの人間のクズたちで、やりたい放題です。もっとも、開国当初よりかは状況は(山師にとっては)悪くなってて、武器売買やらで大儲けというのは昔の話になってます。外国語学校がロシア語の教師を雇ったけど、メーチニコフが来てみれば、実はポーランド人で、しかもイディッシュ語で授業してたのが発覚したとか・・・。喜劇のワンシーンか。
あと、一番面白かったのは、このメーチニコフの生涯そのものでしょうか。巻末の解説部分でいろいろ書かれてますが、ガルバルディ軍に参加して部隊の副官になったりしてたとか、先祖は実は王位簒奪を狙って失敗してロシアに亡命したモルダビア人の大貴族ニコライ・ミレスクで、彼が「スパファリイ(剣持ち。確かワラキアにも剣持長官だか剣持護衛だかいう役職ありましたね)」という役職だったから、子孫の姓が「メーチニコフ」だとか、どのエピソードも面白すぎます。

メーチニコフが書いた他の日本ものの本「日本帝国」とかも翻訳出ないかなー。

参照サイト
講談社 学術文庫
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/metier/learned/
Мечников, Лев Ильич(wikipedia)ロシア語
http://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9C%D0%B5%D1%87%D0%BD%D0%B8%D0%BA%D0%BE%D0%B2,_%D0%9B%D0%B5%D0%B2_%D0%98%D0%BB%D1%8C%D0%B8%D1%87
イリヤ・イリイチ・メチニコフ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95
大山巌(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E5%B7%8C
東京外国語学校 (旧制)(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%96%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E5%AD%A6%E6%A0%A1_%28%E6%97%A7%E5%88%B6%29
藍染め(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%8D%E6%9F%93%E3%82%81

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