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江戸時代はじめの緊張した政治状況の中で細川家は・・・。山本博文『江戸城の宮廷政治 熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状』

どうも。クーラー壊れててすぐには冷たくなってこないし、温度もある程度しか冷えないので、この猛暑を乗りきれるかどうか不安な馬頭です。
直してもらうには部屋を片付けないといけないので直すのは半年は無理で・・・

それはともかく。

山本博文『江戸城の宮廷政治 熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状』

『江戸城の宮廷政治 熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状』

(山本博文。講談社。講談社学術文庫。2004年。1100円。346ページ)
はしがき
プロローグ 細川忠利の人質時代
第一章 「宮廷社会」の成立
第二章 中央政局の変転
第三章 江戸の大名生活と細川氏
第四章 肥後熊本に転封
第五章 家光の御威光
第六章 島原の乱と細川氏の栄光
第七章 天下泰平
エピローグ 御家存亡の危機
原本あとがき
引用史料一覧
主要参考文献一覧
学術文庫版あとがき
コラム 書状の書き方
細川古文書館所蔵『嶋原御陣図』について


「江戸お留守居役の日記」がむちゃくちゃ面白かった山本博文氏の別の本で、江戸時代初期の細川家の話を扱ったのがこの「江戸城の宮廷政治」です。これがまた凄く面白くて、読むのが止められなくて朝までかかって読んでしまいました(翌日会社有り)。
もともと1993年に出たものが、1996年に講談社文庫になって、さらに2004年に講談社学術文庫から新装版となって出たものです。

この本は、細川家の細川忠興と細川忠利が、江戸と領地とで連絡しあっていた時に書かれた千通以上の大量の書状、及び、さまざまな相手への一万通以上の書状などをもとに、当時の政治状況と細川家の政治判断、江戸時代初期の社会状況などを読み取っていく、という内容です。
はじまりは関が原の戦いの直前からで、大阪の陣、熊本藩へ転封、島原の乱を経て、忠利の死亡するまで+αが範囲となっています。

タイトルにある「宮廷政治」の用語は、ノルベルト・エリアスの『宮廷社会』からだそうで、当時はまだ江戸時代がはじまったばかりですが、徳川家・将軍を中心とした宮廷のような政治的状況がすでに江戸城で繰り広げられていました。
そんな中で、細川家は極めて細かい政治的配慮をしつつ生き残りをかけて行動してきた様子が浮かび上がってきます。
てか、細川忠興って戦国武将らしい厳しい行動もあるけど、諸々のことへの配慮が凄い細かい! めちゃくちゃ細かい事を気にしつつ、ああしろこうしろと書状に書いて息子に指導してたりします。この武将のイメージが結構変わりました。ただのヤンデレ武将じゃない。今後は政治力も90以上じゃないと納得いかん。それに細川忠利も父親との世代差が見れて面白かったです。
また、江戸初期の将軍と旗本たちと大名たちの交友関係・相互関係が見て取れて面白いです。どうして将軍の側近たち、老中制度の前身である年寄たちが巨大な権勢を誇ることができたのかもわかってきます。
細川家も、四十万石近い豊前小倉を中心とした北九州の大国、肥後熊本54万石の大大名という立場になれた経緯と、それでありながら徳川家にこれでもかってくらいに気を使って従わなければならなかった状況もわかります。
あと、島原の乱で細川家がどう行動したのかという話の中で、思いの外細かく事の経緯と戦闘の様子が描かれていて、はじめて島原の乱がスッキリ理解できました。島原の乱って、さんざん漫画や映画や小説でネタにされてきてるのを見てきましたが、詳しく調べたことなかったので、自分が全然わかってなかったのがわかりました。天草四郎はナコルルがやっつけた、くらいに思ってたら大間違いですよ。熊本藩がほとんど全部いいところ持ってっちゃった戦いだったわけで、この戦い、キリシタン側を主役で描くよりか、細川家メインで書いた方が絶対盛り上がりますよ! 素敵なエピソード多すぎ(笑

江戸初期の社会状況・政治状況を流れに沿って比較的スッキリと知ることも出来るし、書状をもとにしてるだけあって、生々しいというか活き活きとしたというか、リアルな大名たちの存在感が楽しめる良作でした。

山本博文作品は、他にも読んでみよう。次は何にするかな〜

参照サイト
山本博文(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%8D%9A%E6%96%87
山本 博文|東京大学大学院 情報学環・学際情報学府
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/professor.php?id=375
細川忠興(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E5%B7%9D%E5%BF%A0%E8%88%88
細川忠利(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E5%B7%9D%E5%BF%A0%E5%88%A9
島原の乱(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E3%81%AE%E4%B9%B1

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「宮廷社会」
「鎖国と海禁の時代」
「平戸オランダ商館日記―近世外交の確立 (講談社学術文庫)」



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