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敗走する島津軍の諸事情を解説する。桐野作人『関ヶ原 島津退き口 敵中突破三〇〇里』

どうも。馬頭です。
金曜は飲み会でドイツビールにご満悦。ちょっと飲み食いしすぎて、なんかお腹が信じられないくらいポンポンに膨らんでしまい吃驚しました。
そういや、あの時ピレネーに司祭が国家元首の国があるとか言ったけど、それ、アンドラのことでした。なんか、ピレネーにもうひとつ国があったような気がしたんだけどなぁ・・・。
あ、そういやサンマリノにできるとかいう神社は何系なのかな。

それはともかく。

桐野作人『関ヶ原 島津退き口 敵中突破三〇〇里』

『関ヶ原 島津退き口 敵中突破三〇〇里』

(桐野作人。学研。学研新書。2010年。790円。286ページ)
はじめに 『旧記雑録』の世界
第一章 関ヶ原前夜の島津氏
第二章 義弘はなぜ西軍に加わったのか
第三章 島津勢は二番備えだった
第四章 退き口決行 前代未聞の前進退却戦
第五章 島津勢の退き口ルートを探る
第六章 亀寿奪還から帰国へ
第七章 退き口を彩る人物列伝
おわりに 退き口の総決算と義弘のその後
参考史料
参考論著


関が原の戦いで島津軍が戦場を前に進んで撤退した、という異常で凄まじい戦いのことはよく話に出ますが、これはその「島津退き口」と呼ばれる退却戦の詳細を書いた本です。

実は講談社の漫画雑誌「イブニング」で「敗走記 関ヶ原~大阪「島津の退き口」を辿る」という、関ヶ原の戦いのあとに島津勢が大阪まで逃げる行程を実際に歩いてみるという体験記系エッセイ漫画がやっていたんですが、連載終わって今度単行本が出るので、その前にとりあえず元ネタのこれを読んでおこうと思って買ってみました。
この「関ヶ原 島津退き口」自体が出てるのは知ってましたが、「敗走記」の連載読んでて凄い面白そうだったので。

というわけで、関ヶ原での退き口は島津家の伝説的な勇猛さを語る話のひとつなわけですが、これを読むと「アレっ?」ってなりますね。なんか、イメージしてたのと全然違う(笑
漫画や小説といった創作物だと、関が原の戦いで島津軍は凄い存在感出してまして、やる気満々って風なんですが、この本を読むとたまたま大坂にいたら、なんか流れで西軍として出ざるを得なかったみたいな経緯だったりします。しかも、手元に兵士が全然いないから呼び寄せたりもしたけど、結局ちょとしかいなくて、後方に回されちゃって、はじめから戦いの脇役なんですよね。
で、実際戦いがはじまってみると、戦う前にあっさり西軍崩壊しはじめちゃう。撤退しようにも陣取ってる場所からだと北西の伊吹山方向に後退することになるけど、島津義弘がもう老齢で山越えは出来かねるっていうんで、ちょうど他の敗走する味方を追っかけてる徳川方の部隊が出払ってる戦場のど真ん中を突っ切って、伊勢方面に逃げようってことになるわけです。
もう、関ヶ原の島津ははじめから最後まで状況に流されまくりで、消去法で選択した行動をとってる感じです。なんか、関が原の戦いでの島津のイメージがボロボロです。でも、そういう実際の状況がわかってくる過程が凄い面白いです。

てな感じで、関ヶ原の戦いをやったあとに、一週間にわたる逃避行があるんですが、これもまた凄い面白いです。
島津義弘以下、生き残ったわずか50名ほどは、伊勢、伊賀、近江、山城、大和、河内、堺、という行程を、食料も無いし途中でお金も尽きちゃうしということでヘロヘロになりながら、9月15日から20日までかけて踏破してます。
このとき参加していた武士たちが、これまた凄くキャラの立った人たちばかりだったりして、そういう人たちもちゃんと紹介してくれたりします。そして、その撤退してる時のエピソードが凄く面白くていいんですよ。
たとえば、村で食料を作ってもらおうとしたら、村人たちが島津勢を落ち武者狩りの餌食にしようと相談し合ってるのをこっそり聞いてしまう、とか、物語のベタ展開をリアルにやっちゃうとか。しかも、襲ってきた彼らを蹴散らすとかして、やっぱりメチャクチャ強いのを見せてくれたりも。

撤退の行程の解説はもっと長くてたくさんあるかと思ったんですが、実は本の中で7分の1しかないです。でも、撤退のことだけじゃなくて、当時の社会状況や島津家の内幕、関ヶ原の戦いの実態など、もろもろの事情が退き口を軸にしてわかってくる、という分かりやすくて面白い本でした。そしてなにより、敗走してるのに話が盛り上がっていくというのが凄いですね〜!

次は「敗走記」をじっくり読むか。早く出ないかな。


「敗走記」全一巻


そうだ。あと面白い話といえば、島津豊久が退き口の最初の方で死んじゃってて、しかも敵は福島正則勢だったとか。井伊直政と絡みもしねえ!ww


参照サイト
桐野作人 (kirinosakujin) on Twitter
https://twitter.com/kirinosakujin
膏肓記(桐野作人公式)
http://dangodazo.blog83.fc2.com
イブニング|TOP|講談社コミックプラス
http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/02134
島津義弘(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E6%B4%A5%E7%BE%A9%E5%BC%98
島津の退き口
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E3%83%B6%E5%8E%9F%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84#.E8.A5.BF.E8.BB.8D.E6.95.97.E8.B5.B0
島津豊久(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E6%B4%A5%E8%B1%8A%E4%B9%85
長束正家(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%9D%9F%E6%AD%A3%E5%AE%B6
亀寿 とは - コトバンク
http://kotobank.jp/word/%E4%BA%80%E5%AF%BF

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