Entries

この世で唯一の特異な都市の成り立ちと機能を見る。倉沢進・李国慶『北京 皇都の歴史と空間』

どうも。牛肉と豚肉だったら豚肉派の馬頭です。

それはともかく。

倉沢進・李国慶『北京 皇都の歴史と空間』

『北京 皇都の歴史と空間』

(倉沢進・李国慶。中央公論新社。中公新書1908。2007年。840円。265ページ)
まえがき
第一章 鳥の目で見た北京 二つの中軸線
第二章 都城の形成 北京小史
第三章 毛沢東の北京 社会主義の都市観
第四章 鄧小平の北京 改革と開放
第五章 伝統的都市空間の変容 四合院から大雑院へ
第六章 北京の社会地図 多様化する住宅階層
第七章 オリンピックと国際化する北京
あとがき
参考文献


都市社会学が専門の倉沢進氏と、都市・農村社会学や社会階層論・日本社会論が専門の中国人・李国慶氏の共著。
北京が世界で唯一の特別な都市であることと、現在までの発展の経緯などを書いています。

北京は中国の皇帝のために形成された特異な都市で、皇帝の私的な家計と政治機構が合体したもののために作られ、天子のいる世界の中心であり、世界支配の意志と正統性を表現する権力装置として設計がなされていて、ひとつひとつの施設に意味があり、メッセージ性の高いものであるという。まあ、それなら確かに天津が副首都扱いのような感じなのかも納得できる。
普通の都市とは、商工業の流通・売買のための集積が、拡大して都市を形成した、「できちゃった都市」であり、それとはまったく違う理念で一から建設されたと。

でも、その首都になる経緯なども面白かったです。涿郡なんかは古代中国の辺境地域でしかなく、北方民族の中原への襲来に備える防衛拠点だったのが、遼の副首都みたいな存在・南京(燕京)になって、金の時代に首都・中都となり、その後、元の大都となるというわけです。
そして、明の時代になって、朱元璋(洪武帝)は江南の南京に首都を定めますが、中国南部の経済力を地盤としていた彼にとって、それは当然のことだったのに、その後、永楽帝が北京に遷都させます。
もともと、中国本土回復を狙う北元へ対処するため、武勇に優れた永楽帝を燕王にしてたけど、その永楽帝に政権が奪われたわけです。永楽帝は北部を拠点にした勢力だったわけで、その配下には南京政府に不満を持つモンゴル人勢力もいたとか。だから永楽帝は首都を南京よりか北京ということにしたわけです。そう考えるとここらへんの流れがすっきりわかりますね。

時代が下って、共産党が政権を取ったときに、北京の都市計画を考えたのですが、それにはソ連の影響が強く出たものになったようです。
北京は古来より政治的な消費型の都市で、工業都市とかではなかったわけです。それを工業都市にしろ、っていうのですが、梁啓超の息子・梁思成らが、新首都を郊外にして皇城や旧市街はそのままに、と主張したけど、それは採用されず、市内を改造されて不具合なものになってしまった、という話です。
この話の中で、モスクワの都市計画の話もちょっと出てきますが、スターリンは、モスクワの都市計画として、新しい中心地を作って、クレムリンを中心とした古来の街を残す案を、「小資産階級的な幻想」として退けた、ということがあったそうです。まあ、それは工業都市として発展したモスクワにあってなかったそうですが! 

この本、なかなかおもしろく読めました。街の作りから歴史的経緯が読み取れるというのは面白いですね。あと考え方も。
北京にある天壇がなんで円形を重ねた形なのか、とかはじめて知りました。

後半のオリンピックの話とかはあまりちゃんと読んでないです。

参照サイト
中公新書 - 中央公論新社
http://www.chuko.co.jp/shinsho/
北京市(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E4%BA%AC%E5%B8%82

関連記事
交通の要所で北京の玄関である街の近代の発展の様子。天津地域史研究会『天津史 再生する都市のトポロジー』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1659.html
三国の国際関係がその支配を奇妙なものにしている。紙屋敦之『日本史リブレット 43 琉球と日本・中国』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1667.html
明治時代に中国に渡った日本人たちが見た中国の姿とは・・・。草森紳一『文字の大陸 汚穢の都  明治人清国見聞録』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1196.html
幕末の日本にやってきたイギリスの園芸家の手記。ロバート・フォーチュン『幕末日本探訪記 江戸と北京』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1070.html



「北京歴史のたび―王朝中軸線をゆく」
「Modern Art Desserts: Recipes for Cakes, Cookies, Confections, and Frozen Treats Based on Iconic Works of Art」
「はなとゆめ」



このブログのトップページへ →デジタル・クワルナフ HPのトップへ  →web拍手・コメントはこちらへweb拍手レスまとめページはこちらへ  →Twitter(matou_twi)はこちらへ



関連記事
スポンサーサイト

Appendix

カウンタ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索フォーム

プロフィール

管理人・馬頭

Author:管理人・馬頭
世界史系サイト「デジタル・クワルナフ」の管理人。ロシア・東欧史が大好物。馬。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

QRコード

QRコード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる