Entries

清朝が国家として完成するまでを解説した本。石橋崇雄『大清帝国への道』

どうも。馬頭です。
「ゼロ・グラビティ」観てきました。凄く良かったです。予想通り映像もいいんですが、話もいい。本当に俳優が二人しか出ないwww。それにしても、邦題を「ゼロ・グラビティ」にした配給会社の人はこの映画を観てないんじゃないのか?

それはともかく。

石橋崇雄『大清帝国への道』講談社学術文庫

『大清帝国への道』

(石橋崇雄。講談社。講談社学術文庫2071。2011年。1000円。317ページ)
序章 天安門から満漢全席まで 大清帝国と現代中国
第一章 三つの貌を持つ帝国
第二章 民族統合・建国から大清国の成立 初代ヌルハチと第二代ホン=タイジの時代
第三章 中国内地への進出から絶対君主権の確立へ 第三代順治帝・第四代康煕帝・第五代雍正帝の時代
第四章 最大版図の形成 第六代乾隆帝の時代
第五章 「華夷一家」多民族王朝の確立
終章 帝国末期の改革と保守 大清帝国から満洲国へ
補論 時代区分 新たなる「清朝期」
『賢行典例』(抄)
参考文献
あとがき
学術文庫版あとがき


清朝末期のことに興味が出てきましたが、そもそも清ってどんな国なのかちゃんと分かってなかったので、とりあえず手頃なのを読んでみようということで手にした本。2000年に出た「大清帝国」が講談社学術文庫になったやつです。著者は、中国清朝史が専攻の石橋崇雄氏。

読んでみて、はじめの方はなんか文章がエッセイ風なのでびっくりしましたが、身近で興味深い話が多く、その語り口が気にならないなら導入としてはまあ読みやすいかと。
ちなみにこの本は、清朝の末期はさらっと流してますが、建国から乾隆帝時代までをやって、「大清帝国」の完成までを書くというコンセプトみたいです。
清朝は、いわゆる女真族による征服王朝という見方とか、明朝の継承国家であるという見方がありますが、そう話は簡単じゃないんだよ、というような話はかなり面白かったというか気づくことも多かったというか。
女真族の半農遊牧形態は、モンゴルなんかの遊牧民とは全然違くて、土地所有や領土経営のノウハウや執着があったからこそ中国支配が上手くいったし、それだからこそ元朝と違い、経済的理由から豊かな中国南部の支配にこだわった、という話や、清朝が新疆に領土拡大をして中国の王朝としては最大領土を獲得したのは、王朝の支配構造において、必要だけど危険なモンゴルの巨大な軍事力を内包・制圧させるために、モンゴルにおいて影響力絶大なチベット仏教の本拠地を支配下に入れることが必要だったから、という話は目からウロコ。
他にもあまり知らなかった開国伝説なども知れてよかった。

面白い話としては女真族のシャーマンの話とかも良かったですが、清朝の科挙制度には、満州語やモンゴル語の繙訳科挙や、騎射や歩射の武科挙というのがあった話や、「マンジュ(満洲)」という民族名が「文殊菩薩」に由来するという説があった(実際には違うかもしれないとのこと)という話とか、清朝の皇帝の姓氏「愛新覚羅(アシインギョロ)」の「アイシン」が「金」を意味するという話とか、乾隆帝漢人説があった話とかもあります。
そういや、前に放送大学で中国史のやつやっていた時に、清朝末期に中国人たちが、自分たちの国には、自国を表す自称の国名が無い、と言っていたという話を聞いたんですが、ネルチンスク条約の条文で「中国」との表記を使用しているとありました。ちゃんと使ってるじゃないか。
あと、清朝の国号は「大清国(ダイチン・グルン。漢語では大清)」で「大清帝国」との表記は下関条約以降です。つまり「大日本帝国」という日本の国号を意識してのことらしい。
ほかにもいろいろ興味深い話もありますが、文庫で読みやすく読める清朝モノということで、微妙な断じ方の語り口以外はなかなか良いのではないでしょうか。



「大清帝国と中華の混迷 (興亡の世界史)」
「満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権 (講談社学術文庫)」


参照サイト
講談社 学術文庫 - 講談社BOOK倶楽部
http://bookclub.kodansha.co.jp/books/metier/learned/
(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85
女真(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E7%9C%9F
満州民族(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E6%B0%91%E6%97%8F
愛新覚羅氏(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E6%96%B0%E8%A6%9A%E7%BE%85%E6%B0%8F
ネルチンスク条約(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AF%E6%9D%A1%E7%B4%84
征服王朝(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%81%E6%9C%8D%E7%8E%8B%E6%9C%9D
ヌルハチ(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%81
ゼロ・グラビティ 公式
http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/

関連記事
太平天国の乱におけるキリスト教はどういうものだったのか? 菊池秀明『太平天国にみる異文化受容 世界史リブレット65』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1682.html
明末の混乱の中、苦悩する生真面目な青年の姿を描く・・・。皇なつき『黄土の旗幟のもと』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-592.html
近代の中央アジアと二つの帝国に挟まれた国の関係について。野田仁『露清帝国とカザフ=ハン国』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1393.html
明治時代に中国に渡った日本人たちが見た中国の姿とは・・・。草森紳一『文字の大陸 汚穢の都  明治人清国見聞録』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1196.html
予言された子供が救国の勇者へと成長する18世紀のカザフスタンが舞台の映画。『レッド・ウォリアー』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1192.html
この世で唯一の特異な都市の成り立ちと機能を見る。倉沢進・李国慶『北京 皇都の歴史と空間』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1680.html



「忠臣蔵 もう一つの歴史感覚 (講談社学術文庫)」
「ジハード 1 猛き十字のアッカ (星海社文庫)」
「渡部雄吉写真集 「張り込み日記」 Stakeout Diary」



このブログのトップページへ →デジタル・クワルナフ HPのトップへ  →web拍手・コメントはこちらへweb拍手レスまとめページはこちらへ  →Twitter(matou_twi)はこちらへ





関連記事
スポンサーサイト

Appendix

カウンタ

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索フォーム

プロフィール

管理人・馬頭

Author:管理人・馬頭
世界史系サイト「デジタル・クワルナフ」の管理人。ロシア・東欧史が大好物。馬。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

QRコード

QRコード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる