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信長が訪れ支配した京都の街の様相とは・・・。河内将芳『信長が見た戦国京都 城塞に囲まれた異貌の都』

どうも、馬頭です。
昨日は酔っ払って帰宅したら、なぜか家に着くまでに桃を買ってた。一人で4個、おいしくいただきました。
桃は少し硬くてもイケる派です。

それはともかく。

河内将芳『信長が見た戦国京都 城塞に囲まれた異貌の都』

『信長が見た戦国京都 城塞に囲まれた異貌の都』

(河内将芳。洋泉社。歴史新書y。2010年。860円。222ページ)
はじめに 「異形」の者たちの上洛
第一章 若き信長と城塞都市京都
第二章 自衛・自治する町と町人
第三章 林立する日蓮宗寺院と信長
第四章 信長と京都の深い溝
終章 信長、京都に死す
参考文献
あとがき


戦国時代の京都を信長の上洛と京都での活動を通じて解明していく本です。著者は京都などの中世都市史研究の専門家・河内将芳氏。

戦国時代の京都は本来の碁盤の目状の都市構造の半分以下の面積しか機能していなくて、しかも鴨川沿いの北東部分に偏ってる上に、「上京(かみぎょう)」と「下京(しもぎょう)」に分かれた構造をしていました。
上京はさらに碁盤の目の枠外にはみ出す形に位置してます。そして、両方とも、周りに堀が作られ町全体を囲う惣構の城塞都市となっていたようです。この上京下京の二つの町を繋ぐのが、南北に通った室町通りとなります。この室町通りの上京と下京の間に室町幕府の将軍が御所を構えていたわけですね。内裏も本来の場所からずれて、この将軍の御所の北側、上京の南東端にありました。
今とはまったく違う様相を見せる京都ですが、ここにやってきた信長が、京都をどのように扱ったか、ここに住む町人や宗教勢力らとどう対応したか、などが解説され、当時の京都のあり方や、信長の行動の理由などが示されていきます。

これは大変面白い本でしたね〜。京都の町人たちの自治組織の構造や活動の様子なども、興味深い。区画単位じゃなくて、ストリート単位での町組織で、さらに辻を中心にして4つひと組となり、さらに組が集まって惣町として活動してます(あ、でも町同士で人死の出るような大規模な喧嘩をしてたりもしますが)。都市への定住率が低い時代だったので、倉を必要とするような金貸しなどが定住民として中心となり、戦国乱世の極めて危険な情勢から逃れるため連携し、京都にやってくる武装勢力に免焼税的な感じで礼銭を贈ったりもしますし、場合によっては矢戦なんかもしちゃいます。こうした組織は、いろいろな場面で危険に対応しようとしますし、大火や焼き討ちで散り散りになった住民たちの紐帯となって急速な復興を可能としました。
そういった町の組織には、宗教組織も含まれてたりしますが、特に戦国時代の京都では日蓮宗(法華宗)の拡大が凄かったというのは全然知らなかったです。日蓮宗といえば「南無妙法蓮華経」のお題目ですが、はじめは洛中にすら寺院を建てられなかったくらいだったのに、広まったおかげで京都中にたくさんお寺が出来、そこらでお題目が聞こえる有り様だったとか。
戦国時代は荒廃した世相から、宗教感が大きく変わった時代だそうで、集団や家の信仰よりも、個人の信仰が重視され、家族の中で別々の宗派とかも当たり前になってた特別な時代だとか。この状況で拡大したのが、天台宗や真言宗のような国家公認の旧宗教ではなく、浄土宗(一向宗)や日蓮宗のような当時の新宗教でした。日蓮宗は各寺院の独自性が強かったものの、幾多の騒乱を経て、結束していくことになります。特に天台宗の比叡山とは激しく対立し、天文法華の乱などが起こります。知らなかったのですが、京都の被害は応仁の乱の時よりも天文法華の乱の時の方が酷かったとか。さらに比叡山焼き討ちなんかより、天文法華の乱の方が数倍は死者が多いそうです。
そんな日蓮宗ですが、信長とはそれほど関係が悪くなく、安土宗論で負けさせられたりしますが、京都の重要な要素のひとつとして敵対勢力とは見なされずに済んでいました。これは重要で、敵と判断された勢力である比叡山延暦寺は焼き討ちされ、一向宗はコテンパンにされます。京都の住民も、将軍義昭の決起の時に敵だと見なされた上京の方は焼き討ちを受けてます。こうした京都と日蓮宗と信長の関係については、もっと知られててもいい話のような気がしました。
そしてなにより、信長が京都に宿泊する時は、日蓮宗のお寺に泊まることが多かったというのも面白い。本圀寺も本能寺も日蓮宗なんですよね〜。
京都や近辺で乱暴狼藉の限りを尽くした織田軍は、京都の人たちに非常に恐れられていたそうですが、そういうイメージもなかったので意外な感じです。
本の最後では信長が京都がすっかり安全だと安心しきって油断したせいで、あんな最期を迎えるはめになったんだ、といった話で締めています。
どの話も面白く、いろいろ考えさせられる内容でした。ここらへん関連の本は他にも読んでみようかと思います。この著者の本は特に。

参照サイト
洋泉社
http://www.yosensha.co.jp
京都(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD
日蓮宗(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E8%93%AE%E5%AE%97
法華一揆(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%96%87%E6%B3%95%E8%8F%AF%E3%81%AE%E4%B9%B1
礼銭(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BC%E9%8A%AD
比叡山焼き討ち (1571年)(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E5%8F%A1%E5%B1%B1%E7%84%BC%E3%81%8D%E8%A8%8E%E3%81%A1_(1571%E5%B9%B4)
槇島城の戦い(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A7%87%E5%B3%B6%E5%9F%8E%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

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「日蓮宗と戦国京都」
「火天の城」DVD版。
「戦国仏教―中世社会と日蓮宗 (中公新書)」



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