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東アジアの国際情勢を踏まえて朝鮮への侵攻の顛末を解説する。中野等『文禄・慶長の役 戦争の日本史16』

どうも。馬頭です。
今日は台風一過で凄い晴天でしたね。雲ひとつ無い。

それはともかく。

中野等『文禄・慶長の役 戦争の日本史16』

『文禄・慶長の役 戦争の日本史16』

(中野等。吉川弘文館。2008年。2500円。310ページ)
目次
国際秩序再編の企て プロローグ
I 征明を期して 東アジア国際秩序への挑戦
1 「惣無事」の目指したもの
2 「唐入り」へむけて
II 「唐入り」
1 侵攻の緒戦と漢城陥落
2 朝鮮八道の経略
3 明・朝鮮の反攻と日本の守勢化
4 戦局の転換
III 講和交渉とその破綻
1 「唐入り」の終結
2 「御仕置き」の体制
3 講和交渉とその破綻
IV 慶長の再派兵
1 全羅・忠清道への侵攻
2 明・朝鮮軍の反攻
3 朝鮮半島への固執
V 復交
1 「三国」間の講和交渉
2 東アジア国際秩序の再編
いびつな秩序回復 エピローグ
あとがき
参考文献
略年表


最近はいろいろ本を読んでるにもかかわらず、記事にしてなかったので、久々に歴史の本の記事でも書いてみます。
「戦争の日本史」シリーズのひとつで、文禄・慶長の役を扱ったものです。著者は日本中近世史、豊臣政権や朝鮮出兵などが専門の中野等氏。

日本の周辺諸国との関わりに興味がわいた過程で、朝鮮と日本の本もいくつか読んでるわけですが、やはり日朝関係史の中での重要なものといったらこれでしょう。
戦争の前段階から、徳川幕府成立後の対応までを解説します。
事前に各戦闘の状況などについてはWikipediaで読んでましたが、全体の状況や戦争の意図や意義などはわからなかったので、面白く読めました。戦争前の事情なども書いてあって、それからの流れも順次分かりやすく書いてあります。
それにしてもこの本を読んでみて、この戦争は自分が思ってたようなものとはちょっと違かったですね。
当時は明確な国境線の概念が存在しなくて、秀吉は日本の戦国大名らに対するのと同様な扱いで日本の周辺勢力である中国、朝鮮、琉球、フィリピン(スペイン)などに接し、服属させようとしたそうです。別にスケールはデカイけど、いままでの戦国時代の戦いと同じ領土拡張の理論で動いてたってことか。
あと、秀吉は天皇の権威を利用して他の勢力を服属させて戦争をやってたわけなんですが、秀吉が天皇を中国に移す計画とか持ってたことで、天皇が嫌がって「叡慮」を示したため、九州にすら行きづらくなってしまったとか。それによって戦争そのものの予定が狂って、最終的に失敗してくわけです。利用してたのに、今度はそれに足を取られてしまうとは皮肉な。
最終的に秀吉は朝鮮へ渡らないで済ませますが、虚偽ではありましたが、降伏の使者がやってきた、ということで権威を損なわずに済んだから、落とし所はついたということみたいです。たぶん。

朝鮮関連の本だと偏った視点のものが多いのですが、これはかなり冷静な感じ書かれて素直に読めます。そういう意味でも良質な一冊。
なんにせよ、文禄・慶長の役は、当時の東アジアの情勢の中で行われた戦いとしてとても面白いです。それに戦国時代の日本ともまんま地続きの戦いでもあるので、そういう意味でも燃えますね。
朝鮮側・中国側の状況や関係者たちのことも面白い。加藤清正が女真族と戦ってる話とかも気になる。もうちょい詳しくなりたいので他の本も読んでみるか。そういや学研の歴史群像シリーズの「文禄・慶長の役」は中古で高くて手が出しづらいけど、kindle版で歴史群像デジタルアーカイブスというのが出てて、作者ごとに分けて読めるみたいですね。こっちでいいかな。

参照サイト
吉川弘文館
http://www.yoshikawa-k.co.jp
研究者情報 中野等 九州大学
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001764
文禄・慶長の役(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E7%A6%84%E3%83%BB%E6%85%B6%E9%95%B7%E3%81%AE%E5%BD%B9
天下統一(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B8%8B%E7%B5%B1%E4%B8%80
惣無事令(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%A3%E7%84%A1%E4%BA%8B%E4%BB%A4

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