Entries

中国の各時代の歴史書に書かれた日本の姿を抜粋。講談社学術文庫『倭国伝 中国正史に描かれた日本』

どうも。馬頭です。
今年もたくさん本を読むぞ〜!

それはともかく。

講談社学術文庫『倭国伝 中国正史に描かれた日本』藤堂明保、竹田晃、影山輝國

『倭国伝 中国正史に描かれた日本』

(全訳注/藤堂明保、竹田晃、影山輝國。講談社。講談社学術文庫2010。2010年。1480円。525ページ)

「倭国伝」について
後漢書(巻八十五・東夷列伝)
三国志(巻三十・魏書三十・烏丸鮮卑東夷伝)
宋書(巻九十七・夷蛮)
隋書(巻八十一・東夷)
旧唐書(巻一百九十九上・東夷)
新唐書(巻二百二十・東夷)
宋史(巻四百九十一・外国七)
元史(巻二百八・外夷一)
明史(巻三百二十二・外国三)
『倭国伝』原文
日中交渉史年表


中国の歴代王朝が書いてきた史書の中から、日本について書かれたものを抜粋し、読み下し文・現代語翻訳文・原文を載せた内容の本。
もともとは学習研究社「中国の古典」シリーズの17巻にまとまっていたものを文庫化したものだそうです。ただし、学研版の付録として付けた「使琉球録」「使事紀略」「夷語附」は載っていません。

中国の9つの正史の史書の中に現れる日本ということで、歴史書の情報とはいえ日本が中国からどう見られていたのか、ということが読み取れるもので、大変興味深い内容でした。
とはいっても、実はまだ興味がある時代にあたる後半の「宋史」「元史」「明史」しか読んでないですが。

「明史」から逆に読んでいきましたが、「明史」では海賊・倭寇のことばっかり書かれてて、日本そのものについてより倭寇の活動の方が多いくらいです。ほんとにそこら中を襲撃して、さんざんな被害を与えてたみたいですね。日本へ倭寇の取り締まりをたびたび要請していますが、戦国時代だったので効果的な取り締まりはされてないみたいですが。
でも、交易はしたいみたいで、大友義鎮なんかは僧侶を使者に送って許可とかを求めてます。ちなみに大友義鎮や大友義長は「源義鎮」など源姓で書かれてますね。「明史」では文禄・慶長の役のところも面白くて、豊臣秀吉のことが書いてありますが、彼の出世物語がちょっと変な感じで伝わってます。
木の下に寝そべっていた男が飛び起きて、信長にぶつかって捕まり、自分は平秀吉という薩摩州の人の奴隷だと名乗り、信長に気に入られて「木下人」と名付けられ家臣となり頭角を現し、信長の参謀「阿奇支(あけち)」を信長の命令で討伐したが、その間に信長は「明智」という家臣に殺され、これを誅殺して、その後関白になった、という。「あけち」が二人いる設定です。
あと、日本の戦国武将の中で名前が出てくるのは、加藤清正・小西行長・宗義智です。
日本の大名のことを「豊後の島主」みたいに書いてるから、もしかして細かい島ごとに分かれてるとでも思ったのかな?
あと、もっと昔の14世紀に九州で勢力を持っていた懐良親王のことがけっこう書いてあって、どうやら日本国王として誤認して冊封してしまってます。名前も「良懐」になってるし・・・。この人、洪武帝を激怒させる上表文を送ってるんですが、どうやら元寇の前例を考えて出兵は取りやめたみたいですね。元寇ならぬ明寇がありえたかもと考えるとちょっと面白い。

「元史」の記述は、この本で25ページ分しかない短いものですが、元寇の経緯を元側から読めて面白かったです。皇帝が日本に対して、誼を通じようぜ(属国として)、って内容の上から目線のおおらかな文書を送るんですが、一向に返事がなくて、それを何度も繰り返すものの、結局遠征することに。簡単にですが、戦争そのものの経緯と、将軍たちが敗北を隠してたことがバレるところまでが描かれます。

「宋史」も短くて30ページほど。でも、これに書かれたものが日本のことについて一番詳しくて、どうやら中国に行った日本の僧侶・奝然(ちょうねん)が「日本の年代記」を献上したからのようです。神話の神々から守平天皇まで64代の天皇の系譜が説明されたり、各地の名前、そして中国にやってきた人たちの記録などが書かれています。

どれも凄く面白かったです。前半の方も一応読んでみるか。
あと、気になったんですが、李氏朝鮮の歴史書なんかに日本のことって書かれてないんですかね。どう書かれてるんだろ。



「中国の古典 17」
「新訂 魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝―中国正史日本伝〈1〉 (岩波文庫)」
「中国正史倭人・倭国伝全釈」



参照サイト
講談社学術文庫
http://www.g-bunko.jp
倭国(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%AD%E5%9B%BD
正史(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%8F%B2
二十四史(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E5%8F%B2
大友義鎮(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8F%8B%E7%BE%A9%E9%8E%AE
大友義長(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8F%8B%E7%BE%A9%E9%95%B7
懐良親王(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%87%90%E8%89%AF%E8%A6%AA%E7%8E%8B
ちょう然(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%86%E7%84%B6

関連記事
慶長の役で捕まった朝鮮人官僚が見た日本の詳細。姜沆『看羊録―朝鮮儒者の日本抑留記』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1589.html
昔の来日外国人といえば、これがあったのを忘れてた! 姜在彦『朝鮮通信使がみた日本』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1253.html
倭冦などが入り乱れる中世東シナ海を舞台にした漫画の新装版。石川雅之『新装版 カタリベ』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1458.html
東アジアの国際情勢を踏まえて朝鮮への侵攻の顛末を解説する。中野等『文禄・慶長の役 戦争の日本史16』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1847.html
三国の国際関係がその支配を奇妙なものにしている。紙屋敦之『日本史リブレット 43 琉球と日本・中国』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-1667.html



「倭城を歩く」
「儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉」
「朝鮮開国と日清戦争: アメリカはなぜ日本を支持し、朝鮮を見限ったか」



このブログのトップページへ 
デジタル・クワルナフ HPのトップへ 
web拍手・コメントはこちらへ
web拍手レスまとめページはこちらへ  
Twitter(matou_twi)はこちらへ




関連記事
スポンサーサイト

Appendix

カウンタ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索フォーム

プロフィール

管理人・馬頭

Author:管理人・馬頭
世界史系サイト「デジタル・クワルナフ」の管理人。ロシア・東欧史が大好物。馬。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

QRコード

QRコード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる