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東ローマ帝国の若き軍人ベリスが天才軍師とともに国家再興の戦いに挑む。高橋祐一『緋色の玉座』第1巻

どうも。馬頭です。
新たにはじまった深夜シフトのせいで生活サイクルがめちゃくちゃです。

それはともかく。

高橋祐一&岩本ゼロゴ『緋色の玉座』第1巻

『緋色の玉座』第1巻

(高橋祐一。KADOKAWA。スニーカー文庫。2017年。620円。イラスト・岩本ゼロゴ)
「6世紀の東ローマ帝国。若くして大隊長となった軍人ベリスは、ゲオルギアを巡るペルシャとの戦いにおいて、劣勢の自軍の窮地を救うが、命令違反の咎で処分されそうになる。だが、それを皇帝の甥ユスティニアノスが救い出し、ベリスは彼の下で働くことに。衰退する帝国を憂うベリスは、帝国を復興しようとするユスティニアノスについていくことを決意し、彼の参謀となった天才プロックスとともに再び戦場へと向かうのだった・・・」


6世紀の東ローマ帝国が舞台の歴史系ライトノベルです。作者は「星降る夜は社畜を殴れ」の高橋祐一氏。
主人公はあの不遇の将軍ベリサリウスです。偏屈書記官プロコピオスが天才軍師として相棒になって、ともに戦っていくことになります。

前から珍しいビザンツ帝国モノのラノベが出るぞと話題になってて、楽しみにしてましたが、読んでみたら思った以上にガチな歴史ものでビックリしましたが、そうでありながらもそれを上手くラノベに昇華してて、大変面白く読ませていただきました。
登場人物はみんな実在の人物で、起きた年代を多少入れ替えつつも史実でのイベントを上手く絡ませながら物語を進めています。作中では人名は「ベリス」「プロックス」「ユスティン」など短縮した呼び方をしてたりします。
物語は526年のラジカ戦争の一幕からはじまり、イベリア門を巡る負け戦の中でベリサリウスが活躍しますが、その中で彼はのちに自分の顧問となる書記官プロコピオスと知り合い、また皇帝の甥でのちに皇帝となるユスティニアノスに救われ、引き立てられることになります。
このあと、事件に巻き込まれたりして一悶着ありますが、その中で愛嬌のある踊り子シア(アナスタシア)や、その姉でのちに皇后となるテオドラらが登場。
そして最後にはアルメニアでの対ペルシア戦に派遣され、まだ王子時代のホスロー1世との戦いを繰り広げます。

作中、少しファンタジー要素がありますが、かなり正統派の戦記モノといっていいでしょう。作者さんが大学で西洋史を専攻し、古代ギリシャ語とラテン語を勉強してたというのですから、その内容も本格的です。
まったく、歴史好きにとって大変素晴らしい作品がはじまりましたね。


「秘史 (西洋古典叢書)」


参照サイト
ベリサリウス(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9
プロコピオス(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%94%E3%82%AA%E3%82%B9
ユスティニアヌス1世(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%8C%E3%82%B91%E4%B8%96
テオドラ (ユスティニアヌスの皇后)(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%A9_(%E3%83%A6%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%8C%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%9A%87%E5%90%8E)
東ローマ帝国(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E5%B8%9D%E5%9B%BD
グルジアの歴史(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
サーサーン朝(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%9C%9D
ホスロー1世(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC1%E4%B8%96
ナルセス(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%82%B9

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「ビザンツ 文明の継承と変容―諸文明の起源〈8〉 (学術選書)」
「ビザンツ皇妃列伝―憧れの都に咲いた花 (白水uブックス)」
「コンスタンティノポリスの黒き魔女〈上〉―黄金の魔女が棲む森 (トクマ・ノベルズEdge)」



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ベリサリウスの晩年はアレですから、このシリーズはどこまでやるのかわかりませんが、ヴァンダル戦争くらいまでやるのがちょうどいいのか(一応凱旋式をするし)。ニカの乱がラストだと鬱エンドっぽいので、せめて対ペルシア戦が一区切りつく時点まではやって欲しいものです。


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