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第二次世界大戦を体験したソ連の女性たちの本当の声を集めた名著。スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』

どうも。馬頭です。
この前ないない言ってた「阿呆物語」ですが、今なら普通に買えるみたいですね。はじめだけか。
最近、本を買い過ぎで大変です。勢いで本を買うのは控えた方が良いよ。な?
明日届くのが一冊、来週届くのが一冊。ひとつは支払いがまだ。大丈夫なのかは知らない。

それはともかく。

『戦争は女の顔をしていない』

『戦争は女の顔をしていない』

(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。訳/三浦みどり。群像社。2008年。385ページ)
人間は戦争よりずっと大きい
思い出したくない
お嬢ちゃんたち、まだねんねじゃないか
恐怖の臭いと鞄いっぱいのチョコレート菓子
しきたりと生活
母のところに戻ったのはわたし一人だけ・・・
わが家には二つの戦争が同居しているの
受話器は弾丸を発しない
私たちの褒美は小さなメダルだった
お人形とライフル
死について、そして死を前にしたときの驚きについて
馬や小鳥たちの思い出
あれは私じゃないわ
あの目を今でも憶えています・・・
私たちは銃を撃ってたんじゃない
特別な石けん「K」と営倉について
焼き付いた軸受けメタルとロシア式の汚い言葉のこと
兵隊であることが求められたけれど、かわいい女の子でもいたかった
甲高い乙女の「ソプラノ」と水兵の迷信
工兵小隊長ってものは二ヶ月しか生きていられないんですよ、お嬢さん方!
いまいまいしい女と五月のバラの花
空を前にした時の不思議な静けさと失われた指輪のこと
人間の孤独と弾丸
家畜のエサにしかならないこまっかいクズジャガイモまでだしてくれた
お母ちゃんお父ちゃんのこと
ちっぽけな人生と大きな理念について
子供の入浴とお父さんのようなお母さんについて
赤ずきんちゃんのこと、戦地で猫が見つかる喜びのこと
ひそひそ声と叫び声
その人は心臓のあたりに手をあてて・・・
間違いだらけの作文とコメディー映画のこと
ふと、生きていたいと熱烈に思った
訳者あとがき


第二次世界大戦で戦うソ連軍の中に、そしてパルチザンや地下活動家の中に、女性たちがたくさんいたのですが、日本ではあまり知られていませんし、とうのロシアや旧ソ連諸国でもあまり顧みられていないそうです。この本は、そんな戦争に参加した女性たち、当時はまだ若かったり若過ぎたりした女性たちにインタヴューした話を集めた一冊。現代は「У ВОЙНЫ НЕ ЖЕНСКОЕ ЛИЦО」。著者はベラルーシの女性ジャーナリスト、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。他にも「ボタン穴から見た戦争」「アフガン帰還兵の証言」「チェルノブイリの祈り」といった本も書いています。
これは、ちょっと読むたんびにいろいろ思うことがあり、ページを捲るのが止まってしまい、なかなか読み終わりませんでしたが、なんとか読み終わりました。とても良かったです。
他の国でも女性が戦争に何らかの形で参加することはありますが、ソ連では最前線にまで、しかも兵士として参加する女性がいっぱいいたようです。もちろん、従軍看護婦とか通信兵とかそういう人もいっぱいいますが、狙撃兵とか高射砲兵とかそういう人もいっぱいいます。
そしてその体験談がとにかく凄まじいのです。兵士であっても看護婦であっても、とにかく酷い。
本来はそういう場所にいるべきではない、と思われていた女性たちが、戦争に参加する、巻き込まれていく、そういった状況を、その本人たちに数十年経ってから直接インタビューしたわけです。女性の視点から見た戦争というもの。そして当人たちはそれをどう思ったのか、ということを思い出し、切々と語ってあります。
著者は1974年から1980年代までに取材した段階で発表しようとしたようですが、当時は検閲とかあってなかなか出させてもらえなかったそうです。戦勝国としては戦争とは華々しかったりするものなので、このあまりな内容の本は、当時からあまり歓迎されなかったらしい。今では自由に出せるので、当時の検閲官の言葉やら、前には入れられなかった話までも収録されています。
会話は基本的に話者の言葉を書き起こしたものです。著者の台詞は抜いた状態。その人ごとに話が区切ってあり、長い人でも数ページ、短ければ数行という、細切れの逸話が載ってますが、むしろ読み易いですね。
超おすすめの一冊ですよ、これは!

ところで、この中で「衛生指導員」って仕事についてた人がいっぱいいますが、どんな仕事なんでしょうね? 読んだ限りだと、従軍看護婦のようでもあり、衛生兵のようでもあり?

参照サイト
群像社
http://www.gunzosha.com/
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%81

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